CCTA Map冠動脈CT用語集 EspañolEnglish← マップに戻るマップ

冠動脈CTの画質とアーチファクト

狭窄度を判定する前に、画像をどこまで信頼できるかを把握しておく必要がある。本章では、SCCT 2026コンセンサスに基づき、検査全体の画質評価、評価不能区域、病変に類似したり病変を隠したりするアーチファクトを扱う。Nをカテゴリーとして用いるか修飾子として用いるかは、CAD-RADSの章で説明する。

要点

  • 検査全体の画質は、例えば極めて良好から診断不能までの視覚的スケールで評価し、存在するアーチファクト、その影響、実施した対策とともに記載する。
  • 血管径1.5 mm以上のセグメントが読影できない場合は、そのセグメントと原因となったアーチファクトをレポートに明記する。
  • セグメントを評価不能とする前に、他の心位相と再構成画像を確認する。多くのアーチファクトはそこで変化するか消失する。
  • 呼吸や体動によるモーションは胸骨と脊椎も偏位させ、心拍動によるモーションと異なり、別の心位相を再構成しても補正できない。
  • 高度石灰化部では視認できる最も高い狭窄度を記載し、ブルーミングにより過大評価している可能性を付記する。
  • 石灰化、ステント、高濃度の造影剤に接する低吸収帯はビームハードニングアーチファクトのことがあり、非石灰化プラークや灌流欠損に類似しうる。
このセクションの用語 (9)
  1. 検査画質
  2. 評価不能区域
  3. 未評価・評価不能・陰性
  4. モーションアーチファクト
  5. 位置ずれ(階段状)アーチファクト
  6. ブルーミングアーチファクト
  7. ビームハードニングアーチファクト
  8. 画像ノイズ
  9. 内腔の造影不良
表 1. 冠動脈CTでよくみられるアーチファクト:見え方、類似しうる所見、ワークステーションでの見分け方。
アーチファクト見え方類似しうる所見見分け方
心拍動によるモーション血管のぼけ。特に右冠動脈の垂直走行部狭窄。病変を隠すこともある胸骨と脊椎はずれず、別の心位相で血管が変化するか鮮明になる
呼吸・体動スラブ間ですべての構造がずれる狭窄または血管の途絶胸骨と脊椎もずれ、別の心位相では補正されない
位置ずれ(階段状)スラブ境界の水平な段差狭窄または血管の限局的な途絶矢状断・冠状断で見やすく、線が心臓全体を横切る
ブルーミング(石灰化・ステント)石灰化やステントストラットが太く、辺縁がぼけて見える実際より強い狭窄、ステント内再狭窄ウィンドウ幅を広げる、スライスを薄くする、シャープな再構成関数を用いると軽減する
ビームハードニング石灰化、金属、高濃度の造影剤に接する低吸収域・低吸収帯非石灰化プラーク、ステント内新生内膜増殖、灌流欠損高吸収構造から生じ、心位相間で変化し、高エネルギー画像で軽減する
ノイズ粒状の質感と、ランダムな明暗の線状影病変には類似しないが、非石灰化プラークを隠す均一な組織にも及び、厚いスライスやスムーズな再構成関数で改善する
造影不良・造影剤の混合内腔の吸収値が低い、または不均一非石灰化プラーク、狭窄壁肥厚がなく、心位相間や別のウィンドウで変化する

出典: SCCT 2026、「Image quality, artifacts & pitfalls」の項、pp. 24–29;心筋、p. 31;表4、p. 50

検査画質 Overall image quality#

別名: 画質, 画質評価, 画質グレード, 技術的画質 (「technical quality」。CAD-RADS 1.0のレポートテンプレートでの名称)

検査全体の画質には確立された基準がないため、SCCT 2026は視覚的スケールでの評価を推奨している。例として、極めて良好(excellent)、良好(good)、普通(average)、やや不良(fair)、不良(poor)、診断不能(non-diagnostic)が挙げられる。

記載例

検査画質:やや不良(内腔の造影不良のため遠位セグメントの評価は制限される)。

混同しやすい点: 画質の「診断不能」は検査全体を評価する視覚的スケールの1段階であり、CAD-RADS Nは、確信をもって読影できない血管径1.5 mm以上のセグメントに基づいて付与する。

出典: SCCT 2026、Reporting、d項「Image quality and findings」、表6、pp. 35・52 · “With no established standards for overall study quality, a visual schema such as excellent, good, average, fair, poor or non-diagnostic is recommended.”

詳細

読影での使い方: 所見の冒頭、各冠動脈の記載より前に記載する。SCCT 2026は、存在するアーチファクトの種類、読影への影響、実施した対策を併記するよう求めている。

注意点: 検査全体の画質が不良であることだけを理由にカテゴリーNとするのは誤りである。Nは、読影できなかったセグメントによって決まる。

他の文献: CAD-RADS 1.0のレポートテンプレートは、技術的画質の各段階をアーチファクトと対応させていた。excellentはアーチファクトなし、goodは軽微なアーチファクト、adequateは中等度のアーチファクト、poorまたはsuboptimalは高度のアーチファクトを伴うものとされた。SCCT 2026は6段階を示しているが、いずれも定義していない。 (CAD-RADS 1.0、図16)

CCTA Mapでは

レポート下書きの「画質」セレクターにこの6段階があり、選んだ段階は「検査画質:良好。」のような一文として所見の冒頭に入る。この選択でCAD-RADSカテゴリーは変わらず、評価不能なセグメントは編集パネルの「N」で個別に指定する。

評価不能区域 Non-interpretable (nondiagnostic) segment#

別名: 評価不能セグメント, 診断不能区域, 読影不能セグメント, nondiagnostic segment (英語)

血管径1.5 mm以上のセグメントのうち、アーチファクトのために確信をもって読影できないものをいう。ガイドラインは、そのセグメントと原因となったアーチファクトを明記するよう求めている。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:石灰化プラーク、ブルーミングアーチファクトのため内腔を評価できず、狭窄度は確信をもって判定できない。

混同しやすい点: 評価不能区域はプラークがないセグメントを意味しない。狭窄度を判定できなくても、視認できるプラークは記載する。

出典: SCCT 2026、Reporting、d項「Image quality and findings」;狭窄の項、p. 15 · “Whenever coronary segments are not interpretable, the affected segments and the causative artifact should be stated.”

詳細

読影での使い方: 評価不能とする前に、他の心位相、別の断面、別のウィンドウで確認する。それでも読影できない場合は、セグメントとアーチファクトを明記し、視認できるプラークを記載する。Nを用いる場合、CAD-RADS 2.0は、プラーク負荷全体を信頼性をもって評価できるとき(例えばカルシウムスコアによって)に限りPを付ける。カテゴリーへの影響はCAD-RADSの章で説明する。

注意点: 理由を書かずに「評価不能区域」とだけ記載すると、依頼医は何が検査を制限したのかを知ることができない。ガイドラインはセグメントとアーチファクトの両方を明記するよう求めている。

他の文献: プラーク定量において、SCCT 2024は画質と血管径を考慮する。高度のアーチファクトがあるセグメントは除外する。中等度のアーチファクトがあっても太い近位セグメントは解析できることがあり、軽度のアーチファクトでも細い遠位セグメントは解析できないことがある。 (SCCT 2024、2.2項)

CCTA Mapでは

バージョン1.0では、編集パネルの「N」ボタンはセグメントを評価不能としてすりガラス状に表示するが、そのセグメントのプラークに加え、同じ病変として隣接セグメントにまたがって描いたプラークも消去する。以後、プログラムはそのセグメントを、SIS、「自動(マップ)」で算出されるP、テンプレートのいずれにおいてもプラークのないセグメントとして扱う。これはプログラムの制約であり、狭窄度を判定できないことはプラークがないことを意味しない。回避するには、「N」を指定した後に隣接セグメントのプラークが残っているかを確認し、必要なら描き直す。文面を編集する際は、視認できるプラークを記載し、一般的な原因「画質不良のため評価不能」を具体的なアーチファクトに書き換える。Pは「⚙ 修飾子 P·I ▾」で設定する。プラーク負荷全体を信頼性をもって評価できる場合は「カルシウム(Agatston)」または「Pを選択」を用い、評価できない場合は「Pを選択」で「—」を選ぶ。 マップで例を開く (CAD-RADS N/P1) →

マップのテンプレート出力(原文のまま)

検査画質:やや不良。

左前下行枝 (LAD):近位部:非石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

右冠動脈 (RCA):中間部:画質不良のため評価不能、同血管の他部位に病変なし。分枝 AM、PDA、PL:病変なし。

インプレッション 閉塞性冠動脈疾患の評価は困難(評価不能)。CAD-RADSカテゴリー N/P1。

非閉塞性病変:左前下行枝 (LAD)。

評価不能区域:右冠動脈 (RCA) 中間部。

数値的な狭窄グレードは付与しない: 本例では冠動脈CTAは管理の指針とならず、閉塞性冠動脈疾患を除外できない。追加または代替の評価(CCTA再検、機能的/負荷画像あるいは侵襲的血管造影)を考慮する。

未評価・評価不能・陰性 Not assessed, non-evaluable, and demonstrated absence#

別名: 所見なし (十分な画質で評価したうえでの陰性に相当), 未施行 (検査を行っていない場合の未評価に相当), 評価困難 (評価不能に相当。マップのインプレッションは「評価は困難(評価不能)」と併記する)

これらは3つの異なる結果である。陰性は、十分な画質で所見を探したうえで認めない場合をいう。評価不能は、アーチファクトのため、または必要な位相がないため、得られた画像では確信をもって評価できない場合をいう。未評価は、観察していない、または検査を行っていない場合をいい、実施しなかったCT-FFRがこれにあたる。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:ステント留置後、遠位血管は造影されるが、ストラットのブルーミングのためステント内再狭窄は評価不能。

混同しやすい点: I−は、CT-FFRまたはCTパーフュージョンを施行し、虚血が陰性であったことを示す。Iを含まないコードはどちらも施行していないことを示し、虚血がないことを意味しない。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、f項「False negative findings」、p. 28;Reporting、f項「Impression」、p. 36;表5、p. 51。CAD-RADS 2.0、3.3.1節(N)・3.3.5節(I)、表1 · “In-stent restenosis is classified as absent, mild (<50%), significant (≥50%), occlusion, or non-evaluable.”

詳細

読影での使い方: 「プラークなし」「再狭窄なし」のような否定の記載は、十分な画質で評価した部位に限る。インプレッションで正常とするには、プラークも狭窄もないことが必要である。評価不能な部位は原因とともに記載する。評価不能なものすべてにNを付けるわけではない。CAD-RADS 2.0はNを、確信をもって読影できない血管径1.5 mm以上のセグメントに用い、評価不能なCT-FFRまたはCTパーフュージョンにも適用できるとしている。

注意点: 評価可能なセグメントにはプラークがなく、評価不能なセグメントが1つある検査を、正常またはCAD-RADS 0とするのは誤りである。CAD-RADS 2.0ではCAD-RADS Nとなる。そのセグメントの有意狭窄を冠動脈CTでは除外できないためである。また、ステント遠位の血管が造影されることを根拠に「再狭窄なし」と記載してはならない。SCCT 2026は、遠位の造影だけでは再狭窄を除外できないと注意している。

CCTA Mapでは

マップでは、所見も「N」もないセグメントは病変なしとして記載され、「動脈硬化性病変なし」や「同血管の他部位に病変なし」のような定型句が入る。「N」を指定したセグメントは「画質不良のため評価不能」と記載される。未評価のセグメントを示す状態はないため、その場合は文面を編集して修正する。Iは、「⚙ 修飾子 P·I ▾」の「機能的虚血(修飾子I)」で、「経路」の「CT-FFR」または「CTP」の結果を入力した場合にのみ表示され、入力がなければコードにIは付かない。「N」を指定するとそのセグメントのプラークは消去される。これについては「評価不能区域」の項で説明する。

モーションアーチファクト Motion artifact#

別名: 体動アーチファクト, 心拍動によるアーチファクト, motion artifact (英語)

撮影中の心拍動、呼吸、体動により血管の輪郭がぼけるアーチファクトである。心拍動によるものは、右冠動脈のうち垂直に走行し可動性の大きい部分に最も多い。

記載例

右冠動脈 (RCA) 中間部:再構成したすべての心位相で残存する心拍動によるモーションアーチファクトのため評価不能。

混同しやすい点: モーションアーチファクトは血管の輪郭をぼかし、位置ずれアーチファクトは異なる心拍で撮影されたスラブの境界で構造を急にずらす。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、c項「Motion artifacts」、pp. 25–26 · “Cardiac motion appears as vessel blurring, most commonly in the highly mobile vertical segment of the right coronary artery”

詳細

読影での使い方: まず前胸壁と脊椎を確認する。スラブ間でずれていれば原因は呼吸または体動であり、再撮影でしか補正できない。ずれていなければ別の心位相を再構成する。心拍数が高い場合は収縮期が適することが多い。

注意点: 別の心位相を確認せずに、ぼけたセグメントの狭窄度を判定するのは誤りである。モーションは病変に類似することも、病変を隠すこともある。ぼけが解消しなければ、そのセグメントは評価不能とする。

他の文献: SCCT 2014は、血管のぼけを1心拍内のモーションによるものとし、別の再構成で補正できることがあるとしていた。一方、呼吸や体動を含む心拍間のモーションは階段状アーチファクト(現在の位置ずれアーチファクト)を生じるとしていた。 (SCCT 2014、5.1.1項)

CCTA Mapでは

マップはアーチファクトの種類を記録しない。モーションのためにセグメントを読影できない場合は「N」で指定し、テンプレートを編集する際に一般的な原因「画質不良のため」を「モーションアーチファクトのため」に書き換える。「N」を指定するとそのセグメントのプラークは消去される。レポートにプラークを残す方法は「評価不能区域」の項で説明する。 マップで例を開く (CAD-RADS 3/P1/N) →

マップのテンプレート出力(原文のまま)

検査画質:普通。

左前下行枝 (LAD):中間部:部分石灰化プラーク、中等度狭窄(50-69%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

右冠動脈 (RCA):中間部:画質不良のため評価不能、同血管の他部位に病変なし。分枝 AM、PDA、PL:病変なし。

インプレッション 中等度の閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 3/P1/N。

閉塞性病変(≥50%):左前下行枝 (LAD)。

評価不能区域:右冠動脈 (RCA) 中間部。

評価可能な冠動脈所見は本カテゴリーに合致し、これに基づき管理可能である。N修飾子は評価不能区域における限局性病変を除外できないことを示すのみで、検査全体が評価不能であることを意味しない。

位置ずれ(階段状)アーチファクト Misalignment (stair-step) artifact#

別名: 階段状アーチファクト (「stairstep」。SCCT 2026の用語), 移行アーチファクト (「transition artifact」。SCCT 2026の用語), ステップアーチファクト (「step artifact」。SCCT 2023標準用語で非推奨) 非推奨, ミスレジストレーションアーチファクト (「misregistration artifact」。SCCT 2023標準用語で非推奨) 非推奨, レジストレーションアーチファクト (「registration artifact」。SCCT 2023標準用語で非推奨) 非推奨, misalignment artifact (英語)

異なる心拍で撮影されたスラブの境界で、構造が急にずれる現象である。多くは不整脈または不適切な心電図同期による。

記載例

左前下行枝 (LAD) 中間部の高さに狭窄に類似する位置ずれアーチファクトがあり、別の心位相の再構成では消失する。

混同しやすい点: 段差が胸骨と脊椎にも及ぶ場合、原因は呼吸または体動であり、別の心位相では補正できない。心臓だけに及ぶ場合は多くが不整脈または不適切な心電図同期によるもので、別の心位相で解消しうる。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、c項「Motion artifacts」、p. 26 · “Transition (stairstep or misalignment) artifacts occur at slab interfaces from different cardiac cycles, typically due to irregular rhythm or incorrect rhythm gating”

詳細

読影での使い方: 矢状断と冠状断の再構成画像で確認する。段差は心臓全体を横切る水平線として見える。偽病変が疑われる場合は、別の心位相を再構成するか、エッジ補正(edge correction)アルゴリズムをオフにして真のスラブ境界を表示する。

注意点: 2つのスラブの境界と一致する狭小化の狭窄度を判定すると、偽陽性となりうる。先に別の心位相、またはエッジ補正なしの画像で確認する。

他の文献: SCCT 2023の標準用語は「misalignment artifact(位置ずれアーチファクト)」を推奨し、従来の「step artifact」「misregistration artifact」「registration artifact」を非推奨としている。SCCT 2026は、transition(移行)、stairstep(階段状)またはmisalignment(位置ずれ)artifactと呼んでいる。 (SCCT 2023標準用語、表4)

CCTA Mapでは

マップにはこのアーチファクト専用の操作はない。確認後も読影できないセグメントは「N」で指定し、テンプレートの一般的な原因「画質不良のため」を「位置ずれアーチファクトのため」に書き換える。「N」を指定するとそのセグメントのプラークは消去される。レポートにプラークを残す方法は「評価不能区域」の項で説明する。

ブルーミングアーチファクト Blooming artifact#

別名: ブルーミング, ブルーミング効果, 部分容積効果 (SCCT 2023標準用語が推奨する、物理現象としての名称。分岐部やスラブ境界の偽病変の原因にもなる), 石灰化ブルーミング (「calcium blooming」。SCCT 2023標準用語は旧称として非推奨とするが、SCCT 2026とCAD-RADS 2.0はbloomingを用いる), blooming artifact (英語)

各ボクセル内の部分容積効果により、内腔と石灰化またはステントとの境界がぼける。高吸収の物質が実際より大きく見え、狭窄は過大評価される。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:石灰化プラーク、高度狭窄(70–99%)、石灰化のブルーミングにより狭窄度を過大評価している可能性がある。

混同しやすい点: 石灰化越しに内腔が見える場合は、視認できる最も高い狭窄度を過大評価の可能性とともに記載する。ブルーミングで内腔が隠れる場合はセグメントを評価不能とするが、プラークは記載する。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、e項「Blooming artifact」、表5、pp. 27・51 · “Blooming artifact results from partial volume averaging within a voxel, causing blurring at interfaces between coronary arteries and calcified plaques or stents and leading to overestimation of luminal stenosis”

詳細

読影での使い方: シャープな再構成関数による薄いスライス、利用できれば高エネルギーの仮想単色X線画像で確認する。高度石灰化部では視認できる最も高い狭窄度を記載し、過大評価の可能性を付記する。内腔を識別できないステントは、ステント内再狭窄について評価不能と記載する。

注意点: 高度石灰化部の狭窄を通常のウィンドウで計測すると、ブルーミングが強調される。この計測では、石灰化の辺縁を識別できるまでウィンドウ幅を広げる。

他の文献: SCCT 2023の標準用語は「partial volume averaging(部分容積効果)」を推奨し、「calcium blooming」を非推奨の旧用語としている。SCCT 2026とCAD-RADS 2.0は「blooming」を用いており、本用語集もこれに従う。 (SCCT 2023標準用語、表4)

CCTA Mapでは

「石灰化」プラークで狭窄度が50–99%の場合、テンプレートは所見に「石灰化のブルーミングにより狭窄度を過大評価している可能性がある」を加える。インプレッションには、治療方針が狭窄度に依存する場合にCT-FFRまたは機能的検査を考慮する一文が加わる(ステントまたはグラフトがある場合は機能的検査のみ)。「N」を付けたステントは「アーチファクトまたは小径のためステント内再狭窄の評価不能」と記載される。ブルーミングのため石灰化プラークの内腔を評価できずセグメントを「N」とすると、プログラムはそのプラークを消去する。レポートにプラークを残す方法は「評価不能区域」の項で説明する。 マップで例を開く (CAD-RADS N/P2/S) →

マップのテンプレート出力(原文のまま)

左前下行枝 (LAD):近位部:アーチファクトまたは小径のためステント内再狭窄の評価不能、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

左回旋枝 (LCX):近位部:石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 OM1、OM2:病変なし。

右冠動脈 (RCA):近位部:石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、中間部:石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 AM、PDA、PL:病変なし。

インプレッション 閉塞性冠動脈疾患の評価は困難(評価不能)。CAD-RADSカテゴリー N/P2/S。

非閉塞性病変:左回旋枝 (LCX)および右冠動脈 (RCA)。

CCTAは小径ステント(約3mm未満)のステント内再狭窄に対する精度が限られる。臨床的に疑われる場合は機能的画像検査または侵襲的血管造影を考慮すること。

評価不能区域:左前下行枝 (LAD) 近位部。

数値的な狭窄グレードは付与しない: 本例では冠動脈CTAは管理の指針とならず、閉塞性冠動脈疾患を除外できない。追加または代替の評価(CCTA再検、機能的/負荷画像あるいは侵襲的血管造影)を考慮する。

ブルーミングの模式図:石灰化上では実際の40%狭窄が60%と計測され、ステントでは見かけの内腔が狭くなる
図 1. 部分容積効果により、石灰化とステントストラットの吸収値が隣接するボクセルに広がり、見かけの内腔が狭くなる。この例では、実際には40%の狭窄が60%と計測され、軽度狭窄から中等度狭窄に変わる。

ビームハードニングアーチファクト Beam-hardening artifact#

別名: 線質硬化, ビームハードニング, ストリークアーチファクト (「streak artifact」。SCCT 2023標準用語はビームハードニングの呼称として非推奨) 非推奨, beam-hardening artifact (英語)

金属、石灰化、高濃度の造影剤は低エネルギー光子を選択的に吸収する。その近傍に低吸収域や線状影が生じ、非石灰化プラークや灌流欠損に類似することがある。

記載例

右冠動脈 (RCA) 近位部:石灰化プラーク、隣接する低吸収帯は高エネルギーの仮想単色X線画像で軽減し、ビームハードニングアーチファクトに矛盾しない。

混同しやすい点: ブルーミングは石灰化やステントストラットを実際より大きく見せて狭窄を過大評価させる。ビームハードニングはそれらに接する低吸収域を生じ、非石灰化プラークやステント内新生内膜増殖に類似する。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、d項「Beam hardening and metallic artifacts」、心筋の項、pp. 27・31 · “Beam-hardening artifacts arise from preferential attenuation of low-energy photons by metal, calcium, or dense contrast, producing low-attenuation areas or streaks adjacent to bright artifacts”

詳細

読影での使い方: 低吸収域が石灰化、金属、高濃度の造影剤から生じている場合に疑う。他の心位相、より強い逐次近似再構成、または高エネルギーの仮想単色X線画像で確認する。心筋では左室の心基部下側壁と心尖部にみられることが多い。

注意点: 石灰化に接する低吸収帯を非石灰化成分とみなすと、プラークの種類を誤ることになる。心位相間で変化する場合や高エネルギー画像で軽減する場合は、アーチファクトの可能性が高い。

他の文献: SCCT 2023の標準用語は、ビームハードニングを「streak artifact(ストリークアーチファクト)」と呼ぶことを非推奨としている。SCCT 2026は金属アーチファクトを別項で記載しており、これは明暗の線状影を生じる。 (SCCT 2023標準用語、表4)

CCTA Mapでは

マップはこのアーチファクトを記録しない。低吸収帯がアーチファクトと判断された場合は、編集パネルの「プラークの種類」で「石灰化」を選ぶ。このとき「⬤ 低吸収」と「◎ ナプキンリング」は選択できなくなる。

画像ノイズ Image noise#

別名: ノイズ, 量子ノイズ, 画像SD (CT値の標準偏差), image noise (英語)

光子数が少ないと画像は粒状となり、明暗の線状影がランダムに現れる。過剰なノイズは軟部組織、特に非石灰化プラークの描出を妨げる。

記載例

体格による過剰な画像ノイズのため、非石灰化プラークの検出は制限される。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、a項「Excessive noise」、表4、pp. 25・50 · “Image noise from low photon counts appears as granular texture with random bright and dark streaks.”

詳細

読影での使い方: 主な原因は、肥満、体格に対して低すぎる管電流または管電圧、心電図同期管電流変調で低線量となる区間から再構成した心位相である。スライス厚を厚くする、スムーズな再構成関数を用いる、逐次近似再構成を強めることで低減できるが、空間分解能は低下する。

注意点: プラークが見えないという理由で、ノイズの多いセグメントを正常とするのは誤りである。ノイズは非石灰化プラークを隠す。プラークを除外できない場合は、その限界をレポートに記載する。

他の文献: SCCT 2014は、均一な組織に置いた関心領域(ROI)のCT値の標準偏差としてノイズを計測することを認めていた。軽度・中等度・高度と記載することも認めていたが、これらの段階は標準化されていないと述べていた。 (SCCT 2014、10.6.1項)

CCTA Mapでは

マップにはノイズ専用の操作はない。ノイズの程度は「レポート下書き」の「画質」セレクターに反映させ、ノイズのために読影できないセグメントは編集パネルの「N」ボタンで指定する。「N」を指定するとそのセグメントのプラークは消去される。レポートにプラークを残す方法は「評価不能区域」の項で説明する。

内腔の造影不良 Suboptimal contrast enhancement#

別名: 造影不良, 造影効果不良, 造影不足, suboptimal contrast enhancement (英語)

体格、循環時間の延長、注入手技、造影剤の血管外漏出などにより、内腔が十分に造影されない状態である。造影剤と血液の混合(コントラストミキシング)は、非石灰化プラークや狭窄に類似することがある。

記載例

左前下行枝 (LAD) 遠位部:内腔の造影不良のため評価不能。

混同しやすい点: 造影剤の混合による低吸収は心位相間で変化し、壁肥厚を伴わない。非石灰化プラークは壁を肥厚させ、すべての心位相で持続する。

出典: SCCT 2026、Image quality, artifacts & pitfalls、b項「Suboptimal contrast enhancement」・g項「False positive findings」、pp. 25・28 · “Suboptimal contrast enhancement, contrast mixing, and flow artifacts can mimic non-calcified plaque or luminal stenosis”

詳細

読影での使い方: 判断に迷う部位は、他の心位相、別のウィンドウ、厚いスライスで確認し、壁肥厚があるのか、内腔の吸収値が低いだけなのかを見分ける。低エネルギーの仮想単色X線画像は内腔の造影効果を高める。

注意点: 造影不良の遠位セグメントを、プラークがないものとして扱うのは誤りである。内腔を識別できなければそのセグメントは評価不能であり、原因とともに記載する。

他の文献: SCCT 2016の撮影ガイドラインは、最適な画像には動脈内のCT値 250 HU超の造影効果が必要であるとしている。SCCT 2026は、造影不良とする数値の閾値を定めていない。 (SCCT 2016撮影ガイドライン、4.12.1項)

CCTA Mapでは

マップでは造影効果を個別に記録しない。「レポート下書き」の「画質」セレクターに反映させ、造影不良のため読影できないセグメントは編集パネルの「N」ボタンで指定する。「N」を指定するとそのセグメントのプラークは消去される。レポートにプラークを残す方法は「評価不能区域」の項で説明する。

確認問題

要点を確認するための短い問題である。選択肢を選ぶと解答が表示される。

1右冠動脈中間部が、再構成したすべての心位相を確認してもモーションでぼけたままであり、他の冠動脈は読影可能である。SCCT 2026によれば、レポートに何を記載すべきか。

2曲面MPRで、左前下行枝遠位部に辺縁が直線的な狭小化がみられる。同じ高さの矢状断では水平線を境に心臓の輪郭がずれているが、胸骨と脊椎は連続している。最も考えられるのはどれか。

3左前下行枝近位部の高度石灰化プラークによる狭窄が、広いウィンドウとシャープな再構成関数で確認しても約75%に見える。SCCT 2026ではどのように記載するか。

4右冠動脈近位部の高度石灰化に接して低吸収帯がある。別の心位相では形が変わり、高エネルギーの仮想単色X線画像ではほぼ消失する。これは何か。

5BMI 45の患者で、画像が粒状になり動脈壁が見えにくい。ノイズを低減する再構成の変更はどれか。

参考文献

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「他の文献」で引用した文献

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